プレゼンテーションにおける6つの心構え
僕は20才の頃、所属していた映像制作会社にいた頃からクライアントに対するプレゼンテーションをやっています。いまから25年も前からです。もう四半世紀ですね。
だからプレゼンテーションについては、すでにベテランと言っていいほどの経験はあると思います。
また、25年間、僕が所属していた会社はどれも小さな会社であり、リナックスカフェに至っては5、6人のスタッフの会社です。
そんな小さな零細会社が、大手広告代理店や社員が何百人もいるような大手WEB制作会社を相手にバッタバッタと倒してきたので、そういう意味でも、ある程度、語ることができると思います。
ということで、老婆心ながら、いや、小姑みたいな形で恐縮ですが、若い方にプレゼンテーションの心構えについて伝えたいと思い、アドバイスみたいなものを書いてみたいと思います。
1)相手の顔を見て話す
プレゼンテーションの基本は、相手の顔を見て話すことです。
僕は声が低く、あまり通るほうではありません。
それに滑舌も悪く、早口になりがちです。
決してそういう意味ではトークにおいてはマイナスだと思っています。
もちろん、毎回気をつけているのですが、なかなか上手くいきません。
でも、常に相手の顔を見て、目を見て話すようにしています。
作った原稿を読んでいたり、パワポのスライドを見て話すようでは、声も通りませんし、ぼそぼそと話してしまいがちです。
ですから、僕は相手の目を見て、原稿も用意せず、相手と呼吸をあわせるようにして語りかけるようにしています。
ピアノを演奏するとき、ギターを演奏するとき、自分が「ちゃんとプレイしなくちゃ」と思ったプレイをして、周囲の音をシャットアウトしたり、観客の存在を無視してしまったりすると、いくら技術的に素晴らしい演奏をしても、相手の心には響きません。
観客と呼吸をあわせることこそ、グルーヴ感を掴むポイントです。
上手く話さなければならない、という態度ではなく、相手と呼吸をあわせていくだけで、自分の頭の中にあるストーリーが、自然とすらすら出てくるものです。
多少言葉を噛んでしまっても大丈夫。間が空いたと思っても大丈夫。
まず、相手の目を見て、呼吸を合わせること。
緊張していると、1秒が永遠に感じることもあります。
でも、大丈夫。相手と呼吸が合っているだけで、相手は話を聞いてくれる態度が出来るし、耳を傾けてくれることでしょう。
2)企画書通りに話さない。資料に頼らない。
「それでは、1枚めくっていただきまして、、」という感じで、企画書の最初から最後まで1枚ずつ話すことはできるだけやめましょう。
たとえば、10枚の企画書であれば、書いてある事を説明するのに1枚2分としたら20分はかかります。
であれば、10枚のうち、5枚だけ語ればいいことだと思います。そうすれば、10分で済みます。
つまり、5、6枚で語れるようにしておくことです。
「では次は3枚めくっていただきまして、8ページをご覧いただきましょうか」
といったように8ページを開いていただきながら、9、10ページのことを語る
といったくらいで、自分のシナリオを作ってみてください。
これだけで、伝えたいことが伝わるようになるはずです。
9、10ページは、手渡した資料として、このプレゼンに参加していない人が理解できればよいですし、後でじっくり読んでいただければよいからです。
こういった方法について、僕はクレームを受けた事はありませんし、むしろ、こういったテンポのよいプレゼンのほうが勝率が高く良い印象を受けています。
説明を聴く人は、あなたの作った分厚い資料を見て
「ああ、こんなに考えてくれたんだ〜」と感謝をしますが、同時に
「この内容を全部聴くのか、、」と思うとげんなりしてしまうでしょう。
それを要点を掴んで飛ばし飛ばしに説明していくと、彼らが頭のなかに用意した「分厚い資料を頭に入れる受け皿」に対して、あなたの説明がスムーズにすんなりうまく入っていくはずです。
ですから、企画書通りに話すことは、あまり良いことではないと思います。
3)笑顔を誘う
誰もがお笑い芸人ではないですから、ウケを狙うのは難しいと思いますが、クライアントを笑顔にすることは誰でも出来ると思います。
誰しも、ポジティブな気持ちでいると、どんなつまらない話題でも、ポジティブに受け止めてくれるはずです。(なかにはひねくれたクライアントもいるかも知れませんが、それはあなたの態度が悪いからかも知れません。)
相手を笑顔に誘うためには、あなた自身がハッピーな気持ちでいることです。
そもそもプレゼンというのは、未来を妄想し、未来を楽しくするための予想図を語るものです。
そこに、人が気を悪くするようなものはあり得ないはずです。
ですから、相手の目を見て、相手を呼吸をあわせるようにして、未来の妄想を語るのですから、それは自然と笑顔をもたらすでしょう。
おそらく、人それぞれ、チャームポイントはあるとは思いますが、笑顔をもたらすことは、どんな優秀で才能のある語り方よりもよほど、相手にポジティブな感情をもたらすか、僕はさまざまな現場でそういった場面に出会ってきました。
無理に笑わせることはありませんが、自分たちの会社のためにがんばっている姿をみて、笑顔にならないはずがありません。
そう思い、相手を笑顔にさせることを考えてみましょう。
4)コンペの場合は、敵を無力化する
これはちょっとズルい手法です。
ズルいですが、伝授します。
例えば、相手がデザインが強い会社である場合、相手の出すキメ球は、クオリティの高いデザインを提案してくるはずです。
僕は、デザインを競うコンペで、デザインを提出せずに勝ったこともあります
自分たちのデザインよりも、相手のデザインが勝っているだろうと予想される場合、どうしましょうか?
答えは簡単です。
デザインの重要度を下げることです。
いかに今回の仕事においてデザインが良くても意味がないか、その理由をズバリ訴えることです。
デザインコンペであったとしても、敵がどういうデザインを出してくるか想定した上で、そのデザインを正当な理由でダメだしをすることです。
そして、そのうえで、「見た目だけのデザインを評価しますか?」とクライアントに投げかけることです。
それで評価されなかったら、やはり、自分たちのデザインが力不足だったということですから、そこはあきらめますし、腕を磨くしかないと思います。
この手法は、デザインだけでなく、企画の方向性においても、敵の提案を台無しにする、ということは試してみる価値はあります。
ただし、この方法は、自分たちのアイデアやデザインに自信がないときだけにしておきましょう。
5)専門用語の使い方
我々は、つい専門用語を無意識に使うことが多いですね。
WEBの業界でいえば「コーディング」とか「SEO」だって理解できない人も多いでしょうか。
そんな相手に「ファーストビュー」とか「ワイヤーフレーム」といっても伝わる訳がありません。
かつて、ある大手企業グループのブランディングの企画書は
「カタカナ用語は禁止」というルールがあったそうです。
ですから、まず、こういったカタカナ用語や専門用語は極力使わないようにしましょう。
ただ、どうしても使わないとならない場合は、
「我々の業界ではこのように呼びますが。。」としっかりと説明してあげると良いと思います。
そうすると、先方もあとでその用語に対して質問しやすくなります。
6)笑顔で話す
まだまだ書きたいことはありますが、それはまた次の機会としましょう。
最後に伝えたいことは、
「笑顔で話す」
ということです。
笑顔で話すだけで、あなたのプレゼンの魅力度は30%くらい向上します。
この数値については僕の経験度でありますが、四半世紀における経験値ですから、ほぼ間違いないと言えます。
流暢なトークでなくても、笑顔があれば大丈夫。
まあ、仕事の大多数は、どんな仕事であっても、笑顔があればなんとかなります。
いや、仕事の場だからこそ、笑顔は最大の武器であり、鎧であるはずです。
たとえ、プライベートは無愛想であってもいいんです。彼氏や彼女の前ではさらけ出してもよいでしょうが、ビジネスの場においては、笑顔が素敵な自分を演出してみてください。
笑顔でいるだけでいいんです。
賢いとか才能があるとか、かっこいいとか、そんなものは吹き飛ばしてしまうでしょう。
また、3)に書いたように、笑顔を誘えば、おのずと自分も笑顔になりますし、また自分が笑顔になれば、相手も笑顔になるでしょう。
その連鎖が好印象につながるはずです。
ということで、6つの「誰でもできるだろう」努力について書きました。
ぜひとも、プレゼンにおいて活かしてみてください。
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