バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

「バードマン」

面白かった!

元気になる映画!

まず、俳優のキャスティングが素晴らしい。

この映画における役どころと、彼ら自身の半生が見事にダブっているというか、わざとダブらせているメタ感がハンパないメタメタ映画ですよ。

マイケル・キートンは、バットマンを演じたし、エドワード・ノートンは超人ハルクを演じたし、エマ・ストーンはスパイダーマンのヒロイン。みんなヒーロー映画と縁がある。

そして、ナオミ・ワッツ!

ここでも幸薄そうな「売れない女優」

演じる人たちによるメタ・パロディーを真剣に、しかも「ゼロ・グラビティ」の撮影監督による超実験的な映像で映画化しているだけでも面白い。

さらに、イニャリトゥ監督といえば、濃い映画だ。

「アモーレス・ペロス」重い。しんどい、切ない、いや、やるせない。救われない。

「バベル」涙も乾くほど切ない。人と人は分かりあおうとするほど、分かりあえない。

かなりヘビーなテーマを逃げ場のない重い物語で、登場人物や、我々観客を救いのない八方塞がりの袋小路においやる監督。

そんな彼が、ほぼワンカットのコメディを実験的な手法で作ったのが「バードマン」だといえる。

もう、主人公がトラブルに巻き込まれるたびに笑える。笑える。

ウフフよりイヒヒだ。かなりわかりやすい。

エドワード・ノートンの暴れっぷりも、トンマでたまんない。おかしすぎる。

ナオミ・ワッツの悲愴感と巻き込まれ感、やさぐれ感、もう名人芸だ。

おかしくてたのしいシーン満載だ。

しかし、そうやってイヒヒとしているうちに、やはり、我々はイニャリトゥによって逃げ場のない袋小路に追い込まれる。

ドラムだけのBGM、トラブルの絶えないストレスフルな日常。
主人公の人生は「いま、ここ」ではなく、過去だけで終わっていたほうが幸せだったかも知れない。

そして、愛する娘のために、父親は何ができるか。

「バベル」の役所広司と菊地凜子の父娘のように、愛し方、愛され方を見失い、自分が求めていた結果を出さなければならない。

これはしんどい。
やはり、イニャリトゥだ。

しかしながら、この物語は逃げ場を見つけることができたような気がする。

映画を見終わったら、とても気分が晴れ晴れする。
元気になれる。

あのラストシーンをどう解釈するか、みなさんと語り合いたいですね。
ぜひ!オススメです!

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