カツカレーの旅2014秋 その2

「西麻布のカツカレー(ネパール風)」のつづき。

単刀直入に申し上げますと、このカツカレー、とても美味しかったです。
「好き」とか「嫌い」とか「こういうのはカツカレーじゃねえよ」とかそういう定義に収まらないほど、たいへん美味しいカツカレーでした。
ときには食事よりも美味しい「食後の一服」よりも美味しい、という「さんせいのはんたいのさんせい」のようなことになっていますが、つまり、食後の一服で快感を感じることがなかったというほど美味であったのです。
愛煙家の満腹中枢は、食後の一服によって満たされると言われています。
ですが、この「西麻布のカツカレー(ネパール風)」においては、僕の舌が食後の一服を待たず、思わず満腹中枢に連絡をした、という味だった、と言えるでしょう。
そう、カレー、ご飯、ロースカツ、キャベツ、、すべてが完璧でした。
そして、目の前に広がる「プライベートビーチな」調味料も完璧。
アンデス岩塩、自家製ソースなどもすべて味わい、そして、ネパール風のスパイシーな本気のカレーも堪能できる、完璧なアンサンブル。
完璧。スキがない。そして、そこは西麻布。
さまざまの国籍の、つま先からヘアスタイルまで完璧にコントロールされたプロポーションの眩しい美女たちと、またさまざまな国籍の、完璧なフォルムが眩しいスポーツカーが交互に行き交う交差点。
とにかく、文句のつけようのないほど、バランスのとれたスキのない街では、やはり、スキのない味とバランス。
ここまで書くと、絶賛しているように思えるでしょしょ。
しかし、
これは、僕が求めていたカツカレーではない。
カツカレーに調和やバランス、美意識は必要ない。
僕が欲しかったのはこういうカツカレーではない。
スキのない完璧なプロポーションで闊歩する美しい女性には目を奪われるが、その女性を好きになるかどうかは別問題だ。
その女性と時間を忘れて語り合いたいだろうか、
その女性と夢中になってベッドのなかで長い夜を過ごしたいだろうか、
いや、たとえば、仮にそういう状況になったとして、
それはそれで素敵な心持ちにはなるかも知れない。
だけども、夢中になれるだろうか。
完璧すぎるカツカレーより、
夢中にさせるカツカレーが食べたい。
キッチン南海の両国店と、高円寺店には、そういう夢中にさせる何かがあるのだと再認識した。
それは、僕だけの性癖かも知れない。
スキのないカレーが絶品であり、キッチン南海のカツカレーは食べ物ではない、という人もいるだろう。
でも、そもそもカツカレーというのは、そういうものではないだろうか。
とにかく「カツカレー的なもの」への欲望がまた膨らむこととなりました。
カツカレーの旅。つづく。

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