企業が陥る間違ったインターネット戦略 (1) 「迷うことなく目的にたどり着く」
ブログを書いてて感心に思うことは、「他の誰かの役に立つ記事は、とくに宣伝しなくてもアクセス数が増えていく。」ということだ。
とくに、ここ最近書いた「プレゼンの話」である「ためらいのプレゼン術:プレゼンテーションには、流暢なトークが必要か?」とか「プレゼンテーションにおける6つの心構え」なんかの記事のアクセス数は、ほかの記事に比べてかなり多くのアクセス数を獲得している。
つまり、これらは「プレゼンをする必要がある人たちにとって役に立つ」というものだから、黙っていてもアクセス数が増える。
しかし、これらの記事は僕のほかの記事と比べて、わりとさらっと物事の表層だけで、おもにテクニックを書いているもので、こだわりも何もないものだ。
もし、僕が商魂たくましい人間であれば、こういう話をもっと広げてさらに面白くて役に立つ記事をもっとたくさん書けると思う。まあ、いずれ暇で仕方がないときにはやってもいいかなと思っているけど、いまやるべきは他のことだ。
僕は企業のウェブサイトをたくさんつくってきた。
クライアントからウェブサイトの依頼を受けるときに、その目的についてお話を伺うと、だいたいほとんどのみなさんが口を揃えているかのようにお願いされることがある。
そういう項目はだいたい5つか6つあるのだが、それを全く疑うことなくその「要望」に応えるべきなのか、あらためて検証してみたい。
「ユーザーが迷うことなく目的に素早く辿りつけるようにしたい」
というものは、代表的な要望のひとつだ。
それは当たり前じゃないか。どこをクリックしていいかわからないウェブサイトでは役に立たない。欲しい人に欲しい情報を与えることは当然のサービスだ。
それに、何か目的があって我が社のウェブサイトに訪れているわけだから、目的のコンテンツに早く辿りつけないということは、クレームにつがなる、とまで考えているのはごく当たり前のことだ。
こういった「迷うことなく目的に素早く辿り着くサイト」を間違っていると考えるのは間違っているかも知れないが、ちょっと検証してみたい。
「ユーザーが迷うことなく目的に素早く辿りつけるようにしたい」
これはすべてのウェブサイトに当てはまるか、というと100%そう言い切れるだろうか。
たとえば、株主や就職希望の学生にとっては、時間の余裕がないと言える。
つまり、彼らは
「最小限の努力で最大限の情報を得たい」
と考えている。
これは重要なニーズである。
彼らが欲しい情報は、決算情報、売上げや経常利益、株価の推移などの数字だったり、初任給の額や福利厚生の情報であり、エントリーの処理の時間を軽減したいということだ。
そういうニーズに対して、最短の時間でたどり着けるようにしてあげるとする。
それはそれで素晴らしいことかも知れないが、果たしてそうだろうか?
おそらく、短時間でアクセスできて、最大限の情報を得ることができる。
すなわち、気が利いている会社だとは思ってもらえるだろうが、それはある意味「都合のいい会社」だと思われるだけではなかろうか。
「都合のいい異性」には、ありがたいとは思うだろうけど、そこに愛が生まれることは稀だ。
つまり、サービスがいいからといって、サービスが良いだけでは、愛してはもらえない。
「ぜひともこの会社の株を買いたい!」とか「ぜひともこの会社に入りたい!」という人は、なにがあっても、その会社を求めるようになるはずだ。
もちろん、わけのわからないインターフェイスだったり、誤解を招くメニューだったり、そういったもので作ればいい、というものではない。
最も大切なのは、その会社がとても魅力に溢れているか、ということだと思っている。
「応援したい」「ぜひともその会社で働きたい」
こういう想いが生まれるようなウェブサイトを作る。
もちろん、嘘はいけません。
あまりにも現実とかけ離れたデザインで似合わない服を着てもいけません。
なによりも、アクセスした瞬間から、もしくは情報を探している時間のなかで、その魅力を伝えること。
これが最も大切な機能です。
さらに、こういうことも考える必要がある。
「だいたいのユーザーが不注意であり、間違いを犯す。とくに急いでいるユーザーほど」
ということから、情報の設計というものを考える必要がある。
不注意で間違いを犯しやすいユーザーにとっても、安全に情報に導くということから発想をする必要がある。
時間に余裕があり、ゆっくりと画面を眺め、感度の高いユーザーであれば、その不注意も防げるだろう。
間違いを犯すユーザーは必ず、自分のせいにしない。
だから、「おたくのサイトはわかりにくい」なんてクレームをつけるものです。
そもそも100人の人間がいたとして、100人が全く間違いを犯すことがない、と考えればよいのですが、残念ながら、そのように理解し、行動してくれるユーザーはいません。
「誰かに便利なもの」は、「他の誰かの不便なもの」でもあります。
ユニバーサルなものは存在しない、ということを前提に、ではどうするか、を考える必要があります。
ですから、誰にとっても「迷うことなく目的にたどり着く」というものを作ることは不可能です。
さらにもっといえば、我々が伝えたいことは100%伝わらないということも前提に情報を設計するべきです。
ということは、やはり、魅力のほうを追求して、記憶に残る雰囲気を演出したほうが、企業のサイトにはふさわしいと考えます。
とくに、ここ最近書いた「プレゼンの話」である「ためらいのプレゼン術:プレゼンテーションには、流暢なトークが必要か?」とか「プレゼンテーションにおける6つの心構え」なんかの記事のアクセス数は、ほかの記事に比べてかなり多くのアクセス数を獲得している。
つまり、これらは「プレゼンをする必要がある人たちにとって役に立つ」というものだから、黙っていてもアクセス数が増える。
しかし、これらの記事は僕のほかの記事と比べて、わりとさらっと物事の表層だけで、おもにテクニックを書いているもので、こだわりも何もないものだ。
もし、僕が商魂たくましい人間であれば、こういう話をもっと広げてさらに面白くて役に立つ記事をもっとたくさん書けると思う。まあ、いずれ暇で仕方がないときにはやってもいいかなと思っているけど、いまやるべきは他のことだ。
僕は企業のウェブサイトをたくさんつくってきた。
クライアントからウェブサイトの依頼を受けるときに、その目的についてお話を伺うと、だいたいほとんどのみなさんが口を揃えているかのようにお願いされることがある。
そういう項目はだいたい5つか6つあるのだが、それを全く疑うことなくその「要望」に応えるべきなのか、あらためて検証してみたい。
「ユーザーが迷うことなく目的に素早く辿りつけるようにしたい」
というものは、代表的な要望のひとつだ。
それは当たり前じゃないか。どこをクリックしていいかわからないウェブサイトでは役に立たない。欲しい人に欲しい情報を与えることは当然のサービスだ。
それに、何か目的があって我が社のウェブサイトに訪れているわけだから、目的のコンテンツに早く辿りつけないということは、クレームにつがなる、とまで考えているのはごく当たり前のことだ。
こういった「迷うことなく目的に素早く辿り着くサイト」を間違っていると考えるのは間違っているかも知れないが、ちょっと検証してみたい。
「ユーザーが迷うことなく目的に素早く辿りつけるようにしたい」
これはすべてのウェブサイトに当てはまるか、というと100%そう言い切れるだろうか。
たとえば、株主や就職希望の学生にとっては、時間の余裕がないと言える。
つまり、彼らは
「最小限の努力で最大限の情報を得たい」
と考えている。
これは重要なニーズである。
彼らが欲しい情報は、決算情報、売上げや経常利益、株価の推移などの数字だったり、初任給の額や福利厚生の情報であり、エントリーの処理の時間を軽減したいということだ。
そういうニーズに対して、最短の時間でたどり着けるようにしてあげるとする。
それはそれで素晴らしいことかも知れないが、果たしてそうだろうか?
おそらく、短時間でアクセスできて、最大限の情報を得ることができる。
すなわち、気が利いている会社だとは思ってもらえるだろうが、それはある意味「都合のいい会社」だと思われるだけではなかろうか。
「都合のいい異性」には、ありがたいとは思うだろうけど、そこに愛が生まれることは稀だ。
つまり、サービスがいいからといって、サービスが良いだけでは、愛してはもらえない。
「ぜひともこの会社の株を買いたい!」とか「ぜひともこの会社に入りたい!」という人は、なにがあっても、その会社を求めるようになるはずだ。
もちろん、わけのわからないインターフェイスだったり、誤解を招くメニューだったり、そういったもので作ればいい、というものではない。
最も大切なのは、その会社がとても魅力に溢れているか、ということだと思っている。
「応援したい」「ぜひともその会社で働きたい」
こういう想いが生まれるようなウェブサイトを作る。
もちろん、嘘はいけません。
あまりにも現実とかけ離れたデザインで似合わない服を着てもいけません。
なによりも、アクセスした瞬間から、もしくは情報を探している時間のなかで、その魅力を伝えること。
これが最も大切な機能です。
さらに、こういうことも考える必要がある。
「だいたいのユーザーが不注意であり、間違いを犯す。とくに急いでいるユーザーほど」
ということから、情報の設計というものを考える必要がある。
不注意で間違いを犯しやすいユーザーにとっても、安全に情報に導くということから発想をする必要がある。
時間に余裕があり、ゆっくりと画面を眺め、感度の高いユーザーであれば、その不注意も防げるだろう。
間違いを犯すユーザーは必ず、自分のせいにしない。
だから、「おたくのサイトはわかりにくい」なんてクレームをつけるものです。
そもそも100人の人間がいたとして、100人が全く間違いを犯すことがない、と考えればよいのですが、残念ながら、そのように理解し、行動してくれるユーザーはいません。
「誰かに便利なもの」は、「他の誰かの不便なもの」でもあります。
ユニバーサルなものは存在しない、ということを前提に、ではどうするか、を考える必要があります。
ですから、誰にとっても「迷うことなく目的にたどり着く」というものを作ることは不可能です。
さらにもっといえば、我々が伝えたいことは100%伝わらないということも前提に情報を設計するべきです。
ということは、やはり、魅力のほうを追求して、記憶に残る雰囲気を演出したほうが、企業のサイトにはふさわしいと考えます。
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