WEBディレクターの心得 その3「テーマを決める」
WEBディレクターは、ひとつのプロジェクトだけを手がけていればいいのだが、おそらく複数のクライアントと複数のプロジェクトを掛け持ちしている人がほとんどだと思う。
それがもとで忙しい、とも言えるのだが、複数のプロジェクトを手がけるうえでクライアントとの打ち合わせ、クリエイター、エンジニアとの打ち合わせなどをこなし、メールのやりとりを行い、資料の確認をして、なんてことをやっているうちに毎日の仕事が終わってしまう。
理想としては、ひとつのプロジェクトを丁寧に何ヶ月もかけてやっていられればそれでいいと思う。
でも、現実はなかなかそうはいかない。
そんななかで仕事をしていれば、仕事の質も落ちてくる。また、無理なスケジュールでこなしていくもんだから、ミスやトラブルも発生する確立が高くなる。
ちょっとしたミスで、命とりだ。
クライアントから叱られる。ミスを防ぐためにダブルチェック、トリプルチェックをしますと宣言する。
ますます忙しくなるし、品質確保のためにコストもかかる。
だから、もっと仕事を引き受けなくてはならなくなる。
この悪循環は非常によろしくない。
精神論だけで、これをこなすとなると、もはや寝る時間もなくなってしまうし、毎日緊張の連続だ。落ち着いて新しいアイデアなんて考えられなくなる。当然だ。
もちろん、品質確保のために努力は必要だと思う。
とくにITしかやってきていない連中はミスに甘い。「校正」という技術を知らないからだ。
そういったスキルがないために、とてもつまらないミスをする。
しかし、そのちょっとしたミスは、クライアントに大恥をかかせるもとになる。
だから、校正力は必要だが、それはまた今度別の機会に。
で、そんな忙しいWEBディレクターは、その忙しさから解放されるために、それでいて、クリエイティブなクオリティを確保するために、どういう方法をとればよいか。
そのひとつの方法が「プロジェクトごとにテーマを決める」ということだ。
WEBディレクターの多くがプロジェクトに対する「クライアントのニーズ」についてはとてもよく把握していると思う。
どういう提案をすればクライアントが喜ぶか、どういうデザインが好みか、どういうコピーが好きか、こういったことについてはよく把握しているし、非常に明快なテーマを持っている。
だが、僕が言いたい「テーマをつくる」とはそういうものではない。
どちらかというと、枠組みに近いもので、その「クライアントの意向」をちゃんと咀嚼したうえで、彼らの目標に到達するための「テーマ」だ。
まず、WEBディレクターはプロジェクトごとに「テーマ」を創作することをおすすめしたい。
具体的な数値目標や、先程も述べたクライアントの好みといったものは「ゴール」ではあるが、「テーマ」ではない。
「テーマ」とは、例えばこんなものだ。
「デヴィッド・リンチが新卒採用者のためのWEBサイトを作ったら・・」
とか
「世界でナンバーワンの注文が来る畳屋を作る」
とか
「ディオールが嫉妬する化粧品サイトをつくる」
とか、ちょっとふざけたくらいの、しかし、それでいて、誰もがわかりやすい目標を作ること。
これは、何がいいかというと
1)クライアントにとっては、わくわくするようなものになり、
彼らの上司にも宣言しやすいテーマとなる
2)クリエイターにとってはとてもチャレンジングで、彼らが自発的にアイデアを出してくれるものができる
つまり、発注側も制作側も同じくワクワクしながら、仕事を楽しめるようになり、また、その結果が
「うん、たしかにデヴィッド・リンチだったら、こういうアプローチをするよな」
と納得してもらえるようなものができたら、それはプロジェクトとして成功だ。
つまり、こういったテーマを遊びながら作ること、そして、クライアントや制作者にも宣言することで、思いもよらぬようなものができると思っている。
たとえば、このサイトについてはこうだ。
時をつくる こころで創る 「THE OBAYASHI EXPERIENCE」
http://www.obayashi.co.jp/experience/
出来上がったスペックとしては
「創業120年を迎えた企業が、その沿革を「道」にたとえ、シンプルでダイナミックなグラフィックとともに120年の歴史を体感できるようなコンテンツ」
だが、
このとき、僕が課したテーマは
「今まで誰もみたことのないような表現で年表を作る」
というものだった。
つまり、テーマは「WEBで年表を作ろう」だった。
さらに「誰もみたことのないような表現」で。
その年表づくりに、優秀なクリエイターたちが知恵を絞った。
発注されるかどうかわからないものに対して、彼らはアイデアを広げた。
彼らのアイデアの中で「今まで僕がどっかで見たことのあるもの」は容赦なく却下した。
そんなやりとりを続けていくうちに、僕の予想を遥かに超えた形で実現された。
幸いに、こういった取り組みに対して、評価していただけるクライアントがいるということはラッキーといえるかも知れない。
でも、僕は、こういう「テーマ」だけを伝えて、個人商店のサイトや、大手企業のサイト、歴史のあるブランドのサイトなどを作ってきた。
つまり、「スペック」や「ニーズ」や「戦略」ではなく、大事なのは「テーマ」だ。
ただ、「スペック」や「ニーズ」や「戦略」を無視するわけではない。
それらをすべてかなえる上位概念としての「テーマ」を考えることが必要になる。
悪いけど、これはなかなか誰にでもできることではないけども、チャレンジしていくうちになんとなく見えてくるはずだ。
いま、あなたが手がけているプロジェクトに、テーマをつけてみるだけで、忙しい毎日が少し違ってみえてくるはずだし、スタッフのモチベーションも変わってくるはず。
まず、やってみよう。
文句はそれからだ。
それがもとで忙しい、とも言えるのだが、複数のプロジェクトを手がけるうえでクライアントとの打ち合わせ、クリエイター、エンジニアとの打ち合わせなどをこなし、メールのやりとりを行い、資料の確認をして、なんてことをやっているうちに毎日の仕事が終わってしまう。
理想としては、ひとつのプロジェクトを丁寧に何ヶ月もかけてやっていられればそれでいいと思う。
でも、現実はなかなかそうはいかない。
そんななかで仕事をしていれば、仕事の質も落ちてくる。また、無理なスケジュールでこなしていくもんだから、ミスやトラブルも発生する確立が高くなる。
ちょっとしたミスで、命とりだ。
クライアントから叱られる。ミスを防ぐためにダブルチェック、トリプルチェックをしますと宣言する。
ますます忙しくなるし、品質確保のためにコストもかかる。
だから、もっと仕事を引き受けなくてはならなくなる。
この悪循環は非常によろしくない。
精神論だけで、これをこなすとなると、もはや寝る時間もなくなってしまうし、毎日緊張の連続だ。落ち着いて新しいアイデアなんて考えられなくなる。当然だ。
もちろん、品質確保のために努力は必要だと思う。
とくにITしかやってきていない連中はミスに甘い。「校正」という技術を知らないからだ。
そういったスキルがないために、とてもつまらないミスをする。
しかし、そのちょっとしたミスは、クライアントに大恥をかかせるもとになる。
だから、校正力は必要だが、それはまた今度別の機会に。
で、そんな忙しいWEBディレクターは、その忙しさから解放されるために、それでいて、クリエイティブなクオリティを確保するために、どういう方法をとればよいか。
そのひとつの方法が「プロジェクトごとにテーマを決める」ということだ。
WEBディレクターの多くがプロジェクトに対する「クライアントのニーズ」についてはとてもよく把握していると思う。
どういう提案をすればクライアントが喜ぶか、どういうデザインが好みか、どういうコピーが好きか、こういったことについてはよく把握しているし、非常に明快なテーマを持っている。
だが、僕が言いたい「テーマをつくる」とはそういうものではない。
どちらかというと、枠組みに近いもので、その「クライアントの意向」をちゃんと咀嚼したうえで、彼らの目標に到達するための「テーマ」だ。
まず、WEBディレクターはプロジェクトごとに「テーマ」を創作することをおすすめしたい。
具体的な数値目標や、先程も述べたクライアントの好みといったものは「ゴール」ではあるが、「テーマ」ではない。
「テーマ」とは、例えばこんなものだ。
「デヴィッド・リンチが新卒採用者のためのWEBサイトを作ったら・・」
とか
「世界でナンバーワンの注文が来る畳屋を作る」
とか
「ディオールが嫉妬する化粧品サイトをつくる」
とか、ちょっとふざけたくらいの、しかし、それでいて、誰もがわかりやすい目標を作ること。
これは、何がいいかというと
1)クライアントにとっては、わくわくするようなものになり、
彼らの上司にも宣言しやすいテーマとなる
2)クリエイターにとってはとてもチャレンジングで、彼らが自発的にアイデアを出してくれるものができる
つまり、発注側も制作側も同じくワクワクしながら、仕事を楽しめるようになり、また、その結果が
「うん、たしかにデヴィッド・リンチだったら、こういうアプローチをするよな」
と納得してもらえるようなものができたら、それはプロジェクトとして成功だ。
つまり、こういったテーマを遊びながら作ること、そして、クライアントや制作者にも宣言することで、思いもよらぬようなものができると思っている。
たとえば、このサイトについてはこうだ。
時をつくる こころで創る 「THE OBAYASHI EXPERIENCE」
http://www.obayashi.co.jp/experience/
出来上がったスペックとしては
「創業120年を迎えた企業が、その沿革を「道」にたとえ、シンプルでダイナミックなグラフィックとともに120年の歴史を体感できるようなコンテンツ」
だが、
このとき、僕が課したテーマは
「今まで誰もみたことのないような表現で年表を作る」
というものだった。
つまり、テーマは「WEBで年表を作ろう」だった。
さらに「誰もみたことのないような表現」で。
その年表づくりに、優秀なクリエイターたちが知恵を絞った。
発注されるかどうかわからないものに対して、彼らはアイデアを広げた。
彼らのアイデアの中で「今まで僕がどっかで見たことのあるもの」は容赦なく却下した。
そんなやりとりを続けていくうちに、僕の予想を遥かに超えた形で実現された。
幸いに、こういった取り組みに対して、評価していただけるクライアントがいるということはラッキーといえるかも知れない。
でも、僕は、こういう「テーマ」だけを伝えて、個人商店のサイトや、大手企業のサイト、歴史のあるブランドのサイトなどを作ってきた。
つまり、「スペック」や「ニーズ」や「戦略」ではなく、大事なのは「テーマ」だ。
ただ、「スペック」や「ニーズ」や「戦略」を無視するわけではない。
それらをすべてかなえる上位概念としての「テーマ」を考えることが必要になる。
悪いけど、これはなかなか誰にでもできることではないけども、チャレンジしていくうちになんとなく見えてくるはずだ。
いま、あなたが手がけているプロジェクトに、テーマをつけてみるだけで、忙しい毎日が少し違ってみえてくるはずだし、スタッフのモチベーションも変わってくるはず。
まず、やってみよう。
文句はそれからだ。
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