「矛盾」を描く作品
「風立ちぬ」をみた。
まいった。想像以上に凄い作品だった。凄かった。やばい。
圧倒的な作画も素晴らしい。美しすぎる。
風の描写、地震の描写、人の表情の描写、飛行機の翼、どれひとつとっても息をのむほど美しい。
まいった。想像以上に凄い作品だった。凄かった。やばい。
圧倒的な作画も素晴らしい。美しすぎる。
風の描写、地震の描写、人の表情の描写、飛行機の翼、どれひとつとっても息をのむほど美しい。
そして、この作品の素晴らしいのは「矛盾」を抱えているということと、その「矛盾」を堂々と「正直」に描いているところ。
・震災などで多くの国民は飢えているのに飛行機開発には湯水のようにお金を使う国
・妻が病気で苦しんでいても心配はするが自分のやりたいことを貫く主人公
・激動の時代に、主人公は裕福な家に生まれ、職場、上司、部下、同僚にも恵まれ続けている
そして、宮崎駿監督自身の
・戦闘機や戦闘シーンは大好きだけど、戦争は絶対に反対
という矛盾が、この作品の大きなテーマになっている。
「正しさ」において、主人公の二郎に共感できる人は少ないと思う。
禁煙団体からのクレームも「正しい」と思う。
だって、二郎は、人の話をまったく聞いていない。
頭のなかで常に別の事を妄想している。
この描き方も見事だ。
「正しい」か「正しくない」かは問題ではない。
戦争は「正しい」か「正しくないか」を伝える映画ではないし、もちろん喫煙だってそうだ。
愛するか、愛さないか、
夢を実現するか、しないか、
夢中になるか、ならないか。
そういった問いを作品に描き、その問いを僕らに突きつけている。
人生は矛盾に満ちており、矛盾を受け入れることが「生きねば」ということだ、というふうにも受け止められる。
だから、この映画を観て、僕は普通に素直に感動した。
心が揺さぶられた。
そして、これまでに何度も聴いているはずのユーミンの「ひこうき雲」がまったく違う聞こえ方をしたのにびっくりした。
とくに、2番のサビ前の歌詞が震えるほどずしんときた。
「ほかの人には わからない
あまりにも 若すぎたと
ただ思うだけ けれどしあわせ」
ユーミンのお友達が若くして病気で亡くなったことを歌った曲だから、この歌詞は、そういうふうに受け止めていたけれど、「風立ちぬ」のエンディングでこの歌詞が流れたときに、まったく違う意味として聴こえてきた。
だから、ずしんときた。
この映画のクライマックスは、このエンディングだったのかも知れない。
主人公は、飛行機やサバの骨、ヒロインの奈穂子といった「美しい」ものが好きだ。利己的なまでに美しいものが好き。それ以外のことは割とどうでもいい。
軽井沢で、おそらくゾルゲと思われる外人に
「ドイツは戦争に向かっている」
「日本は戦争に向かっているよ」
「我々は破滅するよ」と言われ、
二郎は「そうですね」と答える。
二郎は、飛行機を作りたいけどもその飛行機は戦争に使われる、という矛盾に苦しむなどのこともなく、淡々と「そうですね」と答える。
まったく葛藤も屈託もなく、淡々と。
「矛盾」をしっかりと描くためには必要なシーンだったと思います。
なぜなら
「ほかの人には わからない」
のだから。
いま、矛盾を許さない風潮が世の中に蔓延している。
矛盾を許さないということは、「正しい」か「正しくない」か、態度を決めろ、ということだ。
アジア諸国を欧米から救おうとした日本が、かえって侵略行為のようなことになった、というのも矛盾だし、おそらく、当時の軍部にもいろいろな矛盾があったと思う。
それを責めるのではなく、冷静にきちんと「矛盾」として受け止めることが、未来を力強く「生きる」ことになるんじゃないかと思いました。
・震災などで多くの国民は飢えているのに飛行機開発には湯水のようにお金を使う国
・妻が病気で苦しんでいても心配はするが自分のやりたいことを貫く主人公
・激動の時代に、主人公は裕福な家に生まれ、職場、上司、部下、同僚にも恵まれ続けている
そして、宮崎駿監督自身の
・戦闘機や戦闘シーンは大好きだけど、戦争は絶対に反対
という矛盾が、この作品の大きなテーマになっている。
「正しさ」において、主人公の二郎に共感できる人は少ないと思う。
禁煙団体からのクレームも「正しい」と思う。
だって、二郎は、人の話をまったく聞いていない。
頭のなかで常に別の事を妄想している。
この描き方も見事だ。
「正しい」か「正しくない」かは問題ではない。
戦争は「正しい」か「正しくないか」を伝える映画ではないし、もちろん喫煙だってそうだ。
愛するか、愛さないか、
夢を実現するか、しないか、
夢中になるか、ならないか。
そういった問いを作品に描き、その問いを僕らに突きつけている。
人生は矛盾に満ちており、矛盾を受け入れることが「生きねば」ということだ、というふうにも受け止められる。
だから、この映画を観て、僕は普通に素直に感動した。
心が揺さぶられた。
そして、これまでに何度も聴いているはずのユーミンの「ひこうき雲」がまったく違う聞こえ方をしたのにびっくりした。
とくに、2番のサビ前の歌詞が震えるほどずしんときた。
「ほかの人には わからない
あまりにも 若すぎたと
ただ思うだけ けれどしあわせ」
ユーミンのお友達が若くして病気で亡くなったことを歌った曲だから、この歌詞は、そういうふうに受け止めていたけれど、「風立ちぬ」のエンディングでこの歌詞が流れたときに、まったく違う意味として聴こえてきた。
だから、ずしんときた。
この映画のクライマックスは、このエンディングだったのかも知れない。
主人公は、飛行機やサバの骨、ヒロインの奈穂子といった「美しい」ものが好きだ。利己的なまでに美しいものが好き。それ以外のことは割とどうでもいい。
軽井沢で、おそらくゾルゲと思われる外人に
「ドイツは戦争に向かっている」
「日本は戦争に向かっているよ」
「我々は破滅するよ」と言われ、
二郎は「そうですね」と答える。
二郎は、飛行機を作りたいけどもその飛行機は戦争に使われる、という矛盾に苦しむなどのこともなく、淡々と「そうですね」と答える。
まったく葛藤も屈託もなく、淡々と。
「矛盾」をしっかりと描くためには必要なシーンだったと思います。
なぜなら
「ほかの人には わからない」
のだから。
いま、矛盾を許さない風潮が世の中に蔓延している。
矛盾を許さないということは、「正しい」か「正しくない」か、態度を決めろ、ということだ。
アジア諸国を欧米から救おうとした日本が、かえって侵略行為のようなことになった、というのも矛盾だし、おそらく、当時の軍部にもいろいろな矛盾があったと思う。
それを責めるのではなく、冷静にきちんと「矛盾」として受け止めることが、未来を力強く「生きる」ことになるんじゃないかと思いました。
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